『127時間』

2011/7/31 TOHOシネマズ シャンテ(日比谷)にて鑑賞。


ある日、27歳の青年アーロンは一人でロッククライミングを楽しむため、庭のように慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンへと向かった。美しい景観の中で様々な遊びに興じて大自然を満喫するアーロン。ところが、ふとしたアクシデントから、大きな落石に右腕を挟まれ、谷底で身動きがとれなくなってしまう。そこは誰も寄りつかない荒野の真ん中。おまけに彼は行き先を誰にも告げずに出てきてしまった。絶望的な状況と自覚しながらも冷静さを失わず、ここから抜け出す方法を懸命に模索するアーロン。しかし無情にも時間ばかりが過ぎていき、彼の強靱な体力と精神力もいよいよ限界を迎えようとしていた。
[出典] http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=338510


遠出するときは、必ず家族や友達に行き先を伝えましょう。


この映画は実話だということですが、アーロン・ラルストンという人の精神力におののくばかりです。もし自分が同じ状況になったら…と想像しただけで背筋がゾッとしました。きっと127時間も耐えられず、どこかで諦めてしまっていると思います。

しかしアーロンがそんな壮絶な状況に陥るまでの描写がとても軽快で清々しく、彼に対しても「ほんとお調子者だな〜」なんて微笑ましい気持ちになってしまっていたので、身動きが取れなくなってからは観ているのが辛くなりました。最初は「なんとかなるだろう、ならないはずがないよね、だって俺だし」と自分をごまかし励ますけれど、だんだんどうにもならないことに気づいて焦り始める。右腕は挟まれたまま動かせないのがもどかしく、焦りが高じて唇も喉も渇いてくるのに、飲み水もどんどん減っていく…。このサスペンスフルな展開に、気がつけば私の喉も渇いていました。結末はだいたい分かっているにもかかわらず、です。上映時間は94分と短いはずなのですが、本当に127時間アーロンを見続けているような錯覚にとらわれました。

本作はほとんどジェームズ・フランコの一人芝居なんですよね。前半こそ美女’sが登場したり、途中の妄想で友達や家族、恋人が出てきたりはするけれど、情景も変わらない中一人でここまで画面を持たせる(どころか、飽きさせない)のは凄い!!最初は底抜けに明るかった彼の表情が時間が経つごとにどんどん陰鬱になっていく、そのグラデーションも素晴らしかったです。
最後は自分の腕を切り離して生還するわけですが、この切断シーンが想像以上にしっかり描かれていまして、ここだけはチラ見程度にしか観られませんでした…。(グロ系苦手)人間の神経ってあんなんなんだ…。


余談ですが、この映画を観た帰りにビックカメラの前を通ったらウォーターサーバーの試飲会をやっていて、「アーロンに飲ませてあげたい!」と心から思いました。